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脚本・監督 荒井晴彦 × 主演 綾野 剛が織りなす 日本映画の真髄
公開日:2025年11月12日
更新日:2025年11月12日
脚本・監督 荒井晴彦 × 主演 綾野 剛が織りなす 日本映画の真髄
日本映画界を代表する脚本家であり、監督としても数々の話題作を手がけてきた荒井晴彦監督の最新作『星と月は天の穴』が、12月19日(金)に公開されます。荒井監督は、『Wの悲劇』(84年)や『共喰い』(13年)などでキネマ旬報脚本賞に5度輝くなど、その手腕は折り紙つき。監督作では一貫して人間の本能たる“愛と性”を深く描き、観る者の情動を揺さぶってきました。
本作は、長年の念願だった吉行淳之介による芸術選奨文部大臣受賞作品の映画化。過去の離婚経験から女性を愛することを恐れつつも、愛されたい願望をこじらせてしまう40代の小説家の日常を、エロティシズムとペーソスを織り交ぜながら綴っています。
主人公の矢添克二を演じるのは、荒井監督とは『花腐し』(23年)でもタッグを組んだ綾野剛さん。これまでのイメージを覆すような、枯れた男の色気を発露させ、過去のトラウマから女性を愛すること、愛されることを恐れながらも求めてしまう、心と体の矛盾に揺れる滑稽で切ない唯一無二のキャラクターを創り上げています。矢添と出会う大学生・紀子を演じるのは新星・咲耶さん。女性を拒む矢添の心に無邪気に足を踏み入れていきます。そして、矢添のなじみの娼婦・千枝子を演じるのが田中麗奈さん。綾野さん演じる矢添との絶妙な駆け引きは、まさに女優としての新境地を開拓しています。さらに、柄本佑さん、岬あかりさん、MINAMOさん、宮下順子さんらが脇を固め、本作ならではの独特な世界観を創り上げています。
「ここまでやってくれるとは思わなかった」荒井晴彦監督も絶賛!田中麗奈が切り開く新境地。
1998年の映画『がんばっていきまっしょい』で主演を飾り、数々の映画賞を受賞した田中麗奈さん。爽やかで快活なイメージが鮮烈で、今も多くの人々の印象に残っていることでしょう。その後も『はつ恋』(2000年)、『東京マリーゴールド』(2001年)、『犬と私の10の約束』(2008年)など、現在に至るまで毎年出演作は途切れることなく、映画やドラマで長年にわたり活躍を続ける稀有な存在です。
そして、最近の田中麗奈さんの演じる役柄は、かつてのイメージを一新するかのような、重厚感すらも漂うものにシフトしつつあります。今年は立て続けに映画5本に出演。戦後80年の今夏に公開された史実に基づく物語『雪風 YUKIKAZE』では、竹野内豊さん演じる艦長・寺澤一利の妻・志津役を凛とした姿で演じ切り、『ストロベリームーン 余命半年の恋』(公開中)では余命半年の娘を持つ母親・美代子を好演し、娘を想い涙するシーンは観る者すべての心を震わせました。さらには、先日開催された第38回東京国際映画祭にも出品された『ナイトフラワー』(11月公開)では総合病院の院長夫人・星崎みゆき役を務め、時代、立場、背負っているものすべてが違う女性を見事に体現。そして、本作『星と月は天の穴』では、これまで見せたことのない表情や佇まいを見せています。
本作で田中が演じるのは、綾野剛演じる主人公・矢添の馴染みの娼婦・千枝子。
本作で田中さんが演じるのは、綾野剛さん演じる主人公・矢添の馴染みの娼婦・千枝子です。矢添を憎からず思っており、彼に対し他の客以上の“情”はあるものの、関係は進展することなく時だけが流れていきます。千枝子は、女として自身の人生の選択をする時が来ていることを自覚している女性です。
愛をこじらせている矢添に決して踏み込むことなく淡々と寄り添う一方で、矢添の一番の理解者であることも見受けられます。さらには、己の幸せのために大きな決断を下していく千枝子の姿は切なくも軽やかで、咲耶さん演じる紀子とある種対照的な人物像となっています。ままならなさ、どうしようもなさを抱える心の内を全て言葉にはしない。しかし、それが全身から溢れ出る色香となって、役柄への説得力が増しています。田中さん自身も、
「今でも千枝子を思うと胸がキュッとします」
と語る通り、千枝子が持つ矢添へのある種の愛と諦念、複雑な女心の内が物語に与える影響は大きく、娼婦という役柄ながら、少なからず人間の共感を呼ぶことでしょう。

©2025「星と月は天の穴」製作委員会
田中麗奈と荒井晴彦の出会い
田中麗奈さんと荒井晴彦監督の出会いは、2017年、三島有紀子監督による『幼な子われらに生まれ』に遡ります。荒井監督が脚本を務めた同作で、田中さんは浅野忠信さんとともにバツイチ同士で結婚した夫婦を演じ、血のつながらない家族に対する葛藤と再生を描いたこの作品で、第91回キネマ旬報ベスト・テン助演女優賞、第72回毎日映画コンクール女優助演賞ほか、作品としても第41回モントリオール世界映画祭審査員特別大賞など数々の賞に輝きました。
次いで、荒井監督が脚本を務めた『福田村事件』(2023年)で再び邂逅。田中さんは、荒井監督が監督を務めた『火口のふたり』(2019年)や『花腐し』(2023年)にも惹かれていたとコメントしており、今回の作品の出演には、
「お話をいただいた時はびっくりしましたが、お声がけいただき大変嬉しかったです」
と語っています。一方、荒井監督も、
「まさか出演してくれるとは思わなかった」
と田中さんの参加に望外の喜びを表現し、さらには、
「ここまでやってくれるとは思わなかった」
と期待を大きく上回る田中さんの演技に感嘆の声を寄せています。制作陣を唸らせたという、公園のブランコのシーンは必見です。
10代での鮮烈なデビューから20年以上の時を経て、スクリーンに圧倒的な存在感を刻む、日本映画界にはなくてはならない俳優となった田中麗奈さん。今後も、彼女が切り開いていく新境地から目が離せません。
【STORY】 いつの時代も、男は愛をこじらせる――
小説家の矢添(綾野剛)は、妻に逃げられて以来10年、独身のまま40代を迎えていました。離婚によって心に空いた穴を埋めるように、娼婦・千枝子(田中麗奈)と時折体を交わし、妻に捨てられた傷を引きずりながらやり過ごす日々を送っています。そして彼には恋愛に尻込みするもう一つの理由がありました。それは、誰にも知られたくない自身の“秘密”にコンプレックスを抱えていることです。そんな矢添は、自身が執筆する恋愛小説の主人公に自分自身を投影することで「精神的な愛の可能性」を探求していました。ところがある日、画廊で運命的に出会った大学生の瀬川紀子(咲耶)と彼女の粗相をきっかけに奇妙な情事へと至り、矢添の日常と心が揺れ始めます。

©2025「星と月は天の穴」製作委員会

©2025「星と月は天の穴」製作委員会

©2025「星と月は天の穴」製作委員会
キャスト・スタッフ情報
本作を彩る豪華キャストと実力派スタッフをご紹介します。
キャスト
綾野剛
咲耶
岬あかり
吉岡睦雄
MINAMO
原一男
柄本佑
宮下順子
田中麗奈
スタッフ
脚本・監督:荒井晴彦
原作:吉行淳之介「星と月は天の穴」(講談社文芸文庫)
エグゼクティブプロデューサー:小西啓介
プロデューサー:清水真由美、田辺隆史
ラインプロデューサー:金森保
助監督:竹田正明
撮影:川上皓市、新家子美穂
照明:川井稔
録音:深田晃
美術:原田恭明
装飾:寺尾淳
編集:洲﨑千恵子
衣裳デザイン:小笠原吉恵
ヘアメイク:永江三千子
インティマシーコーディネーター:西山ももこ
制作担当:刈屋真
キャスティングプロデューサー:杉野剛
音楽:下田逸郎
主題歌:松井文「いちどだけ」他
写真:野村佐紀子、松山仁
アソシエイトプロデューサー:諸田創
製作・配給:ハピネットファントム・スタジオ
制作プロダクション:キリシマ一九四五
制作協力:メディアミックス・ジャパン
レイティング:R18+
コピーライト:©2025「星と月は天の穴」製作委員会
上映尺:122分
公開情報
映画『星と月は天の穴』は、2024年12月19日(金)よりテアトル新宿ほか全国でロードショーとなります。
配給・宣伝:ハピネットファントム・スタジオ
編集部まとめ
荒井晴彦監督と綾野剛さんのタッグが再び実現し、さらに田中麗奈さんが新境地を開拓する映画『星と月は天の穴』。愛をこじらせた男と、彼を取り巻く女性たちの複雑な人間模様が、エロティシズムとペーソスを交えて描かれます。特に、田中麗奈さん演じる娼婦・千枝子の、切なくも軽やかな存在感は必見です。荒井監督も絶賛する田中さんの演技、そして綾野剛さんとの化学反応を、ぜひ劇場で体感してください。日本映画の真髄が詰まった本作は、観る者の心に深く響くこと間違いなしです!
著者
あつめでぃあ編集部
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