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映画『星と月は天の穴』とは? 荒井晴彦監督×綾野剛主演の真髄
公開日:2025年11月04日
更新日:2025年11月04日
映画『星と月は天の穴』とは? 荒井晴彦監督×綾野剛主演の真髄
日本映画界を牽引する脚本家・荒井晴彦監督の最新作、映画『星と月は天の穴』が、12月19日(金)よりテアトル新宿ほか全国でロードショーされます。『Wの悲劇』(84)や『共喰い』(13)など、キネマ旬報脚本賞に5度も輝いた荒井監督が、自らメガホンを取る作品では一貫して人間の本能たる“愛と性”を描き、観る者の情動を掻き立ててきました。
本作は、長年の念願だった吉行淳之介による芸術選奨文部大臣受賞作品を映画化したものです。過去の離婚経験から女性を愛することを恐れながらも、愛されたい願望をこじらせる40代の小説家が主人公。その日常が、エロティシズムとペーソスを織り交ぜながら綴られています。
主人公の矢添克二を演じるのは、荒井監督とは『花腐し』(23)でもタッグを組んだ俳優・綾野剛さん。これまでにない枯れかけた男の色気を発露させ、過去のトラウマから女性を愛すること、愛されることを恐れながらも求めてしまう、心と体の矛盾に揺れる滑稽で切ない唯一無二のキャラクターを創り上げています。
矢添と出会う大学生・紀子を演じるのは、新星・咲耶さん。女性を拒む矢添の心に無邪気に足を踏み入れていきます。また、矢添のなじみの娼婦・千枝子を演じるのは、田中麗奈さん。綾野さん演じる矢添との絶妙な駆け引きは、女優としての新境地を切り開いています。さらに、柄本佑さん、岬あかりさん、MINAMOさん、宮下順子さんらが脇を固め、本作ならではの世界観を創り上げています。
待望のアザービジュアル&新場面写真5点が一挙解禁!
この度、本作のアザービジュアルと新場面写真が一挙に5点解禁となりました。これらの写真は、写真家の野村佐紀子さんが撮影したものです。野村さんと荒井監督のタッグは、『身も心も』(97)、『火口のふたり』(19)、『花腐し』(23)に続き4作目となります。彼女が撮る写真は、エロスとタナトスに満ちた世界観で国内外から高い評価を得ています。
今回のアザービジュアルでは、ブランコを漕ぐ紀子(咲耶さん)と、それを自宅マンションから見下ろす矢添(綾野さん)の姿が、独特の空気感とともに写し出されています。じっと公園を見下ろす矢添に焦点が当てられ、開放的な空間でありながらも、どこか閉塞的で淫靡な二人の関係性を匂わせる濃密な空気が捉えられています。この写真について、荒井監督も
「風、空気、ブランコの音が聞こえてきそう。」
と大絶賛しています。
合わせて解禁された場面写真も、全て野村佐紀子さんの撮影によるものです。女性を愛することを恐れながらも求めてしまう――布団の上に座り女性の影に照らされる矢添、奇妙な関係性を映し出す矢添と紀子の二人、そして、公園で一人ブランコに乗る娼婦・千枝子(田中麗奈さん)など、矢添のこじらせた繊細な心情とそれぞれ掴み切れない女性たちの姿が写し出されています。
また、クラシカルな郵便ポストと紀子のファッションからは、舞台となる1969年当時の風俗を思わせる一枚も。さらに、憂いの表情で煙草を燻らせる矢添のカットは、同じ作家という職業も相まって、“モテ男”の証言があるほど色男だったという原作者の吉行淳之介をどこか連想させ、綾野さんもこれまでに見せたことがない“男の色気”を醸し出しています。
時代の空気や質感をスクリーンに転写したいという荒井監督の意図から、全編モノクロで撮影されている本編同様、モノクロの世界を映し出す野村佐紀子さんの写真は、本作の魅力をより一層際立たせています。

© 2025「星と月は天の穴」製作委員会
野村佐紀子氏プロフィール
野村佐紀子さんは、1967年山口県下関生まれの写真家です。1990年に九州産業大学芸術学部写真学科を卒業後、1993年からは国内外で多数の写真展を開催し、写真集も多く発表しています。特に、モノクロームで表現される詩的で濃密な男性ヌード写真で注目を集めています。
『星と月は天の穴』作品概要
公開情報
作品タイトル:『星と月は天の穴』
公開表記:12月19日(金)テアトル新宿ほか全国ロードショー
配給表記:配給 ハピネットファントム・スタジオ
コピーライト表記:© 2025「星と月は天の穴」製作委員会
STORY
いつの時代も、男は愛をこじらせる――。小説家の矢添(綾野剛さん)は、妻に逃げられて以来10年、独身のまま40代を迎えていました。離婚によって心に空いた穴を埋めるように、娼婦・千枝子(田中麗奈さん)と時折体を交わし、妻に捨てられた傷を引きずりながら日々を送っています。そして彼には、恋愛に尻込みするもう一つの理由がありました。それは、誰にも知られたくない自身の“秘密”にコンプレックスを抱えていることです。そんな矢添は、自身が執筆する恋愛小説の主人公に自分自身を投影することで「精神的な愛の可能性」を探求していました。ところがある日、画廊で運命的に出会った大学生の瀬川紀子(咲耶さん)と彼女の粗相をきっかけに奇妙な情事へと至り、矢添の日常と心が揺れ始めるのでした。
キャスト
綾野剛
咲耶
岬あかり
吉岡睦雄
MINAMO
原一男
柄本佑
宮下順子
田中麗奈
スタッフ
脚本・監督:荒井晴彦
原作:吉行淳之介「星と月は天の穴」(講談社文芸文庫)
エグゼクティブプロデューサー:小西啓介
プロデューサー:清水真由美、田辺隆史
ラインプロデューサー:金森保
助監督:竹田正明
撮影:川上皓市、新家子美穂
照明:川井稔
録音:深田晃
美術:原田恭明
装飾:寺尾淳
編集:洲﨑千恵子
衣装デザイン:小笠原吉恵
ヘアメイク:永江三千子
インティマシーコーディネーター:西山ももこ
制作担当:刈屋真
キャスティングプロデューサー:杉野剛
音楽:下田逸郎
主題歌:松井文「いちどだけ」他
写真:野村佐紀子、松山仁
アソシエイトプロデューサー:諸田創
製作・配給:ハピネットファントム・スタジオ
制作プロダクション:キリシマ一九四五
制作協力:メディアミックス・ジャパン
その他
レイティング:R18+上映尺:122分
編集部まとめ
1969年という日本の激動期を背景に、一人の男の私的な物語を映し出す『星と月は天の穴』。温故知新を感じさせる滋味深い日本映画であり、クラシカルな世界に新しさが見える<R18+>の異色作として、早くも注目を集めています。
荒井晴彦監督と綾野剛さんが織りなす、エロティシズムとペーソスに満ちた濃密な世界観は、きっと観る者の心に深く刻まれることでしょう。2025年、映画ファン必見の一作となること間違いなしの本作を、ぜひ劇場でその目で確かめてみてください。
著者
あつめでぃあ編集部
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