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日本映画界の真髄を紡ぐ:荒井晴彦監督と綾野剛が再びタッグ!
公開日:2025年12月03日
更新日:2025年12月04日
日本映画界の真髄を紡ぐ:荒井晴彦監督と綾野剛が再びタッグ!
日本映画界にその名を刻む脚本家・荒井晴彦監督が、長年の念願だった吉行淳之介による芸術選奨文部大臣受賞作品『星と月は天の穴』を映画化しました。荒井監督は、『Wの悲劇』や『共喰い』などでキネマ旬報脚本賞に5度輝くなど、その手腕は折り紙つき。監督作では常に人間の本能たる“愛と性”を深く掘り下げ、観る者の情動を揺さぶってきました。本作でも、過去の離婚経験から女性を愛することを恐れながらも、愛されたい願望をこじらせる40代小説家の日常を、エロティシズムとペーソスを織り交ぜながら綴っています。
主人公の矢添克二を演じるのは、荒井監督とは『花腐し』でもタッグを組んだ俳優・綾野剛さん。これまでにない枯れかけた男の色気を発露し、過去のトラウマから女性を愛すること、愛されることを恐れながらも求めてしまう、心と体の矛盾に揺れる滑稽で切ない唯一無二のキャラクターを創り上げています。綾野さんの新たな境地が、本作の大きな見どころの一つと言えるでしょう。

©2025「星と月は天の穴」製作委員会上映尺:122分
矢添と出会う大学生・紀子役には、新星・咲耶さんが抜擢されました。女性を拒む矢添の心に無邪気に足を踏み入れる彼女の存在が、物語に新たな風を吹き込みます。また、矢添のなじみの娼婦・千枝子を演じるのは田中麗奈さん。綾野さん演じる矢添との絶妙な駆け引きは、女優としての新境地を開拓しています。さらに、柄本佑さん、岬あかりさん、MINAMOさん、宮下順子さんといった実力派俳優陣が脇を固め、本作ならではの深遠な世界観を創り上げています。
1969年の空気感を徹底再現!細部に宿るリアリティへの執念
本作は、吉行淳之介の原作小説が1966年に上梓されたものですが、荒井監督は長年の念願だった映画化にあたり、時代設定に深いこだわりを見せています。当初は現代に移すことも検討されたそうですが、原作当時の価値観やシチュエーション、セリフが「今」とそぐわず、物語そのものが成立しなくなると判断。最終的に、アポロ11号が月面着陸した1969年に設定されました。この時代選択は、作品タイトルにオチを付けたいという監督の意図も含まれているとのことです。
そして、この1969年という時代の空気や質感をスクリーンに転写するため、本作は全編モノクロで撮影されています。濃淡と陰影によって構成された画面は、単なるノスタルジーに留まらず、活字から文脈を読み取るかのような余白の美しさをも映し出しています。さらに、時折現れるパートカラーの「赤」は、吉行淳之介原作の映画『砂の上の植物群』へのオマージュ的な意図も含まれているというから、映画ファンにはたまらない仕掛けですね。
ディテールへの徹底したこだわりは、作品の随所に見て取れます。主人公・矢添の愛車であるBMW2002シリーズは、吉行淳之介が実際に乗っていた車種を再現。車だけでなく、信号機なども昭和年代のものが稼働している地域まで素材を撮りに行くなど、その執念は並々ならぬものです。綾野剛さんが着用している衣装も、吉行が当時着用していたジャケットに近い生地で仕立てられ、当時のデザインを忠実に再現。部屋のレイアウトも、1969年頃に吉行が暮らしていた住居の間取りを参考に家具が配置されるなど、時代性が強く意識されています。

©2025「星と月は天の穴」製作委員会上映尺:122分
情熱と信頼の“荒井組”:メイキング写真が語る撮影現場の絆
本作の制作は、まさに情熱の結晶と言えるでしょう。特に、矢添が住む部屋のロケーション探しは、最も難航したポイントだったと明かされています。矢添の部屋の書斎の窓からブランコが設置された小さな公園が見えるという設定でしたが、昭和の雰囲気があり、座ったまま窓から公園が見える建物はなかなか見つかりませんでした。現代的な遊具が置かれた公園が多く、荒井監督はマンションと公園をそれぞれ撮り分けることも考えたそうですが、最終的には助監督をはじめとする“荒井組”のスタッフが執念で理想の部屋を発見し、台本に忠実なシチュエーションを実現させました。このエピソードからも、制作陣の作品への真摯な姿勢が伝わってきます。
そんな情熱に溢れた撮影現場では、主演の綾野剛さんと荒井監督の間に強固な信頼関係が築かれていました。『花腐し』に続く2度目のタッグということもあり、お互いを深く理解し、高め合う関係性がメイキング写真からも見て取れます。また、オーディションで“発見”された紀子役の咲耶さんも、現場では笑顔が弾けていたとのこと。これらの写真からは、“荒井組”のチームワークの良さと、映画への真剣なこだわりがひしひしと伝わってきます。
アポロ11号による人類月面初着陸や、東大・安田講堂の攻防戦、ウッドストック・フェスティバルなど、国内外で大きなトピックが続いた1969年という激動期を背景に、一人の男の私的な物語が描かれる本作。この“いつの時代も愛をこじらせる”男の本質を描いた滋味深い日本映画は、温故知新を感じさせることでしょう。クラシカルな世界に新しさも垣間見える、荒井晴彦監督の脚本から導き出された綾野剛さんの真骨頂を、ぜひスクリーンでご体感ください。

©2025「星と月は天の穴」製作委員会上映尺:122分
映画『星と月は天の穴』作品概要とSTORY
本作は、<R18+>指定の異色作として、映画界に一石を投じること間違いなしです。1969年という激動の時代を背景に、一人の男の複雑な内面と、彼を取り巻く人間関係を深く掘り下げています。
【STORY】
いつの時代も、男は愛をこじらせる――小説家の矢添(綾野 剛)は、妻に逃げられて以来10年、独身のまま40代を迎えていた。離婚によって心に空いた穴を埋めるように娼婦・千枝子(田中麗奈)と時折り軀を交え、妻に捨てられた傷を引きずりながらやり過ごす日々を送っていた。そして彼には恋愛に尻込みするもう一つの理由があった。それは、誰にも知られたくない自身の“秘密”にコンプレックスを抱えていることだ。そんな矢添は、自身が執筆する恋愛小説の主人公に自分自身を投影することで「精神的な愛の可能性」を探求していた。ところがある日、画廊で運命的に出会った大学生の瀬川紀子(咲耶)と彼女の粗相をきっかけに奇妙な情事へと至り、矢添の日常と心が揺れ始める。
このあらすじからもわかるように、本作は単なる恋愛物語に留まらず、人間の心の奥底に潜む葛藤や、愛と性の複雑な関係性を深く描いています。綾野剛さん演じる矢添の繊細な心理描写と、彼を取り巻く女性たちとの関係性が、観る者の心に深く響くことでしょう。
公開情報&豪華キャスト・スタッフ陣
映画『星と月は天の穴』は、2024年12月19日(金)よりテアトル新宿ほか全国ロードショーとなります。この機会に、ぜひ劇場で本作の魅力を体感してください。
作品タイトル:『星と月は天の穴』
公開:12月19日(金)テアトル新宿ほか全国ロードショー
配給:ハピネットファントム・スタジオ
コピーライト:© 2025「星と月は天の穴」製作委員会
キャスト
綾野 剛
咲耶
岬あかり
吉岡睦雄
MINAMO
原一男
柄本佑
宮下順子
田中麗奈
スタッフ
脚本・監督:荒井晴彦
原作:吉行淳之介「星と月は天の穴」(講談社文芸文庫)
エグゼクティブプロデューサー:小西啓介
プロデューサー:清水真由美、田辺隆史
ラインプロデューサー:金森保
助監督:竹田正明
撮影:川上皓市、新家子美穂
照明:川井稔
録音:深田晃
美術:原田恭明
装飾:寺尾淳
編集:洲﨑千恵子
衣装デザイン:小笠原吉恵
ヘアメイク:永江三千子
インティマシーコーディネーター:西山ももこ
制作担当:刈屋真
キャスティングプロデューサー:杉野剛
音楽:下田逸郎
主題歌:松井文「いちどだけ」他
写真:野村佐紀子、松山仁
アソシエイトプロデューサー:諸田創
製作・配給・その他
製作・配給:ハピネットファントム・スタジオ
制作プロダクション:キリシマ一九四五
制作協力:メディアミックス・ジャパン
レイティング:R18+
©2025「星と月は天の穴」製作委員会上映尺:122分
編集部まとめ:時代と人間性を深く見つめる異色作
映画『星と月は天の穴』は、単なる文芸作品の映画化に留まらず、荒井晴彦監督の長年の情熱と、制作陣の徹底したこだわりが凝縮された一本です。1969年という激動の時代を背景にしながらも、描かれるのは“愛をこじらせる”一人の男の普遍的な物語。綾野剛さんが見せる新たな顔、新星・咲耶さんの瑞々しい演技、そして田中麗奈さんの深みのある表現が、観る者の心に深く問いかけます。
全編モノクロで描かれる映像美、細部にまで宿る時代考証への執念は、まさに日本映画の真髄。そして、R18+指定が示すように、人間の本能的な部分に深く切り込む本作は、観る者に強烈な印象を残すことでしょう。現代社会にも通じる普遍的なテーマを、クラシカルな手法で描くことで、新たな発見と感動を与えてくれるはずです。
ぜひ劇場に足を運び、この異色作が放つ唯一無二の輝きを、ご自身の目で確かめてみてください。きっと、あなたの心に深く刻まれる体験となるはずです。
著者
あつめでぃあ編集部
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