スポーツ・その他
Kodansha Studios、ハリウッドに誕生!講談社が描く新たな挑戦
公開日:2025年11月08日
更新日:2025年11月08日
目次
Kodansha Studios、ハリウッドに誕生!講談社が描く新たな挑戦
平素よりお世話になっております。このたび、株式会社講談社は、アカデミー賞受賞監督のクロエ・ジャオ氏、そしてプロデューサーのニコラス・ゴンダ氏と手を組み、ハリウッドに新会社「Kodansha Studios」を設立することを発表しました。これは、講談社にとって初のハリウッドでの制作会社設立という、まさに歴史的な一歩となります。
新スタジオでは、クロエ・ジャオ氏が最高クリエイティブ責任者(Chief Creative Officer)として、企画やクリエイティブ全般を統括されます。また、数多くの映画やTVドラマを手掛けてきたニコラス・ゴンダ氏がCOO(最高執行責任者)を務め、講談社からは専務取締役の森田浩章氏がCEO(最高経営責任者)に就任されます。
講談社は、この「Kodansha Studios」を通じて、日本で出版された多種多様なマンガや小説の海外実写映像化、そしてグローバル展開において、これまで以上に主体的な役割を担っていく方針です。日本の素晴らしい物語が、ハリウッドのクリエイティブと融合し、世界中の人々を魅了する新たな作品として生まれ変わることに、大きな期待が寄せられています。
設立発表会見を徹底レポート!登壇者が語る熱い想い
「Kodansha Studios」の設立発表会見は、11月4日(火)に講談社本社にて盛大に実施されました。会見には、講談社代表取締役社長の野間省伸氏、そして第93回アカデミー賞で作品賞、監督賞、主演女優賞の主要3部門を独占した『ノマドランド』の監督であるクロエ・ジャオ氏、さらにジャオ氏と共に制作会社「Book of Shadows」を共同創業されたプロデューサーのニコラス・ゴンダ氏が登壇し、熱い想いを語られました。
会見冒頭、野間省伸社長は「このたび講談社は、ロサンゼルスを拠点にKodansha Studiosという、ハリウッドを中心に映画を制作する会社を設立いたしました。そのパートナーとして、こちらにいらっしゃいますアカデミー賞受賞監督のクロエ・ジャオさんとニコラス・ゴンダさんらによる制作会社Book of Shadowsと提携しました。今後、さまざまな日本のIPをハリウッド映画などの形で広めていきたいと思っていますのでご期待ください」と、力強い挨拶で会見の幕を開けました。
続いて、Kodansha Studiosの最高クリエイティブ責任者に就任されたクロエ・ジャオ氏は、「本当にワクワクしていて、今日はとても嬉しい機会です。わたしは子どもの頃から深く日本の漫画やアニメを愛してきました。ですから本当にこのような機会をいただけて光栄です」と、日本のコンテンツへの深い愛情をにじませながら挨拶されました。COOに就任したニコラス・ゴンダ氏も、「特に講談社さんのように、100年以上の長い伝統、そして素晴らしいクリエイティビティを育み、保ってきた会社とご一緒させていただけることを心から光栄に思っております」と、講談社への敬意を表しました。
Kodansha Studios 設立発表会見 概要
実施日:11月4日(火)
登壇者 (敬称略):
野間省伸(株式会社講談社 代表取締役社長)
クロエ・ジャオ(Kodansha Studios 最高クリエイティブ責任者)
ニコラス・ゴンダ(Kodansha Studios COO)
場所:講談社 (東京都 文京区音羽 2-12-21)

「不可能を可能に」講談社とクロエ・ジャオ氏の運命的な出会い
改めてKodansha Studios設立への思いを尋ねられた野間社長は、日本のIPをめぐる現状について説明されました。「わたくしども講談社は、長年にわたってさまざまな物語を創出してきました。近年は海外へのIP提供にも力を入れているところでございます。いま世界的に日本のエンターテインメント・コンテンツの人気があるという状況もありますし、日本としてもコンテンツの輸出を世界に広めていこうといった追い風もございます。そういった中で、わたくしどももハリウッドをはじめ、海外からの実写映画化のお話をいただいてはいたのですが、やはりさまざまな課題が多い、というのが実情でございます」と、これまでの課題を率直に語られました。
その上で、今後どうすべきかという問いに対する答えとして、Kodansha Studiosが設立される運びとなったことを明かしました。野間社長は、「これまでは日本のIP、原作の権利を海外の企業にお渡しして、そこから企画・制作・プロモーションなどをすべてお任せするような形でしたが、今回、我々が制作会社を設立することによって、そういったところに深く関与していって。日本のIPを、そして日本のクリエイターを世界に広めていく。またこういった海外の素晴らしいクリエイターの方々とコラボレーションをして、ある種、化学反応を起こして新しいコンテンツを作っていく。そういったことを目指したいと考えております」と、新スタジオ設立の意義を強調されました。
野間社長とジャオ氏がロサンゼルスで初めて会ったのは、今から2年半ほど前のことだそうです。漫画、アニメという共通項で、両者はすぐに意気投合したといいます。野間社長は当時のことを振り返り、「もちろん彼女が、アカデミー賞で監督賞を受賞した著名な監督であることは存じ上げておりましたし、日本の漫画が大好きだということも存じ上げておりましたが、実際にお話をしてみますと、本当に漫画が大好きで。中国にいた子供時代からずっと漫画を読んでいたこともあり、漫画に対する愛情、深い造詣を持っている人だなと感じました」と語られました。
さらに、その場でジャオ氏から「アニメもぜひつくりたい」という話が飛び出したといい、野間社長も「実写とアニメ、両方とも一緒に作ればいい」と提案されたそうです。ジャオ氏からは「それはimpossible(不可能)なこと」だと言われたそうですが、講談社は英語で“Inspire Impossible Stories“というスローガンを掲げていることもあり、“We’re here to make impossible stories“と伝えたところ、ジャオ氏が大層喜んでくれたといいます。そこから二人の関係は深まり、その後、ゴンダ氏とも食事をしたり、ゲームをしたりと親しく付き合いをするに至り、「非常に良い信頼関係を築けているのではないかと思っております」と、野間社長は付け加えました。
クロエ・ジャオ氏が語る「Kodansha Studios」に託す3つの願い
一方、クロエ・ジャオ氏は「Kodansha Studios」に望むものとして、3つの重要なポイントを掲げられました。
まず1つ目は、「東と西の懸け橋となること。異文化間の理解を促進するということ。わたし自身、子供時代からそれを成し遂げたいという思いがありました」と、文化の融合への強い願いを語られました。
そして2つ目は、「Kodansha Studiosに“庭“として機能してほしいということ」です。ジャオ氏は、「映画作家として、ストーリーテラーとして、わたしがいつも望むものは安心できる場所です。作家、作品、アイデアがそこから発展して、そして外からの変革や情勢に左右されることなく守られる場所として機能させてほしい。つまり日本の作家と海外のクリエイターたちが共に植物を強く育て上げ、そこから巣立つことを助けられるような役割を担うことを期待しています」と、クリエイターが安心して創造に打ち込める環境の重要性を訴えました。
最後に3つ目として、「野間社長と知り合った時に、彼の勇敢さに非常に魅せられたのです。不可能なことに果敢に挑んでいく。ですからわたしは彼に『Mr. Impossible』というあだ名をつけたのです。その精神をKodansha Studiosに取り入れて。果敢に取り組んでいきたいという思いがあります」と、野間社長の「不可能を可能にする」精神を新スタジオの核としたいという熱い思いを明かされました。
隣に立つゴンダ氏もジャオ氏の意見に深くうなずき、「この発表が行われる2年以上も前から、わたしたちはいろいろなものを学び続け、そしてたくさんの声を聞き続けてきました。もしかしたら今までもさまざまな課題があったかもしれませんが、そのような課題を克服するために、いろいろなシステムやプロセスをきちんと築き上げていきたいと思っております。このスタジオを設立することによって、まさにこれまで講談社さんがこれまで何年もしてこられたように、どんどん良いものに挑戦してつくっていきたいと思っています」と、ジャオ氏のビジョンに共感し、実現への意欲を示しました。
「日本のコンテンツは私の血と肉」クロエ・ジャオ氏の原点
改めてジャオ氏に、日本のコンテンツへの思いを尋ねたところ、彼女は深く感動的なコメントをされました。「日本のコンテンツは、まさにこのわたしの血と肉をつくったと言えます。漫画だけではありません。小説、アニメ、同人誌といったすべてに影響を受けました」と、日本のコンテンツが彼女の人生に与えた絶大な影響を語られました。
ジャオ氏は自身の幼少期を振り返り、「わたしは孤独な子供でした。ですから漫画の中のキャラクターが友達だったのです。それはわたしだけではなく、世界の多くの人に共通する思いだと思います。たとえば漫画のシリーズ、作品がずっと続いていく中で、わたしもその漫画のキャラクターとともに成長していったのです。わたし自身、今はストーリーテラーとして仕事をしていますが、もともとは漫画家を目指していたのです。ただ絵を描くのがあまりうまくなかったということで断念しました」と、漫画が彼女にとってかけがえのない存在であったことを明かしました。
その上で、子どもの頃に漫画から学んだことは「陰影」だったとジャオ氏は語ります。「漫画のキャラクターには明るさ、暗さだけではなくて、グレーのような幅広い表現があります。ですから漫画の中のキャラクターというのは単一的ではなく複雑です。それを日本文化が表すようになったのは、やはり西洋の文化を観察し、それを取り入れ、統合した上でアウトプットをしているからでしょう。そこには人間とは何かといった問いかけがあり、深いレベルで漫画に描かれていました。わたし自身がストーリーテラーとして探求をする何か。埋もれてしまっているものや怖いもの、見えないもの、神秘的なもの、神話的なもの、科学、そういったものをわたしが映画で描こうとしているのも、やはり漫画の世界にわたし自身が何年も生きてきたことが大きな理由になっています」と、日本の漫画が彼女のクリエイティブの根源にあることを熱く語られました。この言葉からは、単なるエンターテインメントとしてだけでなく、人間存在の深淵を探求する哲学的な側面を漫画から見出していることが伝わってきます。
ハリウッドに新風!日本IPの未来とクリエイターの新たな共創
日本IPのハリウッド実写化に挑戦していくKodansha Studiosですが、今後、ハリウッドにどのような影響を及ぼしていくのでしょうか。ジャオ氏は、「我々は今までさまざまな作品が映画化される上での困難というのを目の当たりにしてきました。そしてそれはわたし自身も経験してきたことですが、その大きな要因は東西文化における理解不足と言えるかと思います。知らないものへの恐れというものもあるでしょう。ただそれを超えて、両者は強く求め合っている。そもそも文明というのはその上に築かれてきたものですから、今回、Kodansha Studiosが“庭“となって、文化、そしてストーリーをつなげる。そうした調和を生み出す、impossibleなものを実現化するということは、今から考えただけで待ちきれないほどに楽しみです」と、東西文化の壁を乗り越えることへの強い意欲と期待を語られました。
さらにジャオ氏はこう続けます。「きっとハリウッドも深く影響を受けるのではないかと感じています。ある意味ハリウッドはこれまで違う文化のIPを勝手に解釈して扱ってきたわけです。でもこれからは、作家なり、元々のアイデアに耳を傾け、コラボレーションをして、作家を尊重して、より作家性に近いものをつくるというのは、ハリウッドにとっても健全な形ではないかと感じるからです」と、ハリウッドのクリエイティブにも良い影響を与えることへの期待を寄せました。
その言葉を受けた野間社長は今後の展望をこう語ります。「今、クロエが話していた通り、ハリウッドの実写作品に関しては、クロエやニックたちがやっているBook of Shadowsの皆さんという非常に力強いパートナーを得られました。その中で我々としては、これまであまり知られていなかった日本の数多くのIPを、より多く世界に広めていくということをまず目指したいと思っています。また日本の漫画家、作家といったクリエイターと、海外の監督や俳優に限らず、さまざまなクリエイターが出会うこと、コラボレーションすることによって、新しいコンテンツ、新しい表現方法が生まれてくることを期待しています」と、日本のIPとクリエイターの新たな可能性に胸を膨らませました。
登壇者プロフィール
野間省伸(株式会社講談社 代表取締役社長)
1969年 東京都生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業後、株式会社三菱銀行(現三菱UFJ銀行)に入行。
1999年に株式会社講談社に入社し取締役に就任。常務取締役、副社長を経て、2011年に第七代社長に就任。
デジタル分野ではいち早く自社作品の大規模な電子書籍化を推し進めるなど業界を牽引。
多様なIPラインナップによるライツビジネス展開を軸に事業のグローバル化を推進。アメリカ、中国などで現地拠点の整備、拡充を図る。
2021年、創業以来掲げてきた企業理念「おもしろくて、ためになる」をベースに、新たなパーパス“Inspire Impossible Stories“を発表。コーポレートロゴを刷新するなどブランディングの強化に取り組み、自社のグローバル戦略を更に推進。
クロエ・ジャオ(Kodansha Studios 最高クリエイティブ責任者)
1982年 中国・北京生まれの脚本家・映画監督・編集者・プロデューサー。
三作目の長編映画『ノマドランド』でアカデミー賞(作品賞・監督賞・主演女優賞)を受賞し、ベネチア国際映画祭金獅子賞、ゴールデングローブ賞、英国アカデミー賞、全米監督協会賞、全米製作者組合賞などでは主要賞を獲得。
マーベル・スタジオ『エターナルズ』では共同脚本・監督を務める。
近作では、スティーヴン・スピルバーグやサム・メンデスが製作に名を連ねる『ハムネット』にて脚本・監督・編集・製作総指揮を務める。同作はトロント国際映画祭で最優秀作品に相当する観客賞を受賞し、同賞を二度受賞した唯一の監督となる。
ニコラス・ゴンダ(Kodansha Studios COO)
ハリウッドの制作会社「Book of Shadows」の共同創業者・最高執行責任者(COO)。
かつては、世界有数の没入型・インタラクティブ・アート組織であるMeow Wolfの初代チーフ・コンテンツ・オフィサー(CCO)を務め、現在も没入型・インタラクティブなストーリーテリングの第一人者として活躍。
ウォルト・ディズニー・カンパニー、ワーナー・ブラザース、Epic Games、Roblox、MGMリゾーツと最先端の体験型プロジェクトで継続的に協業。
近作では映画『ハムネット』や『ツリー・オブ・ライフ』(アカデミー賞ノミネート)をプロデュース。
編集部まとめ
講談社がアカデミー賞監督クロエ・ジャオ氏、プロデューサーのニコラス・ゴンダ氏と設立した「Kodansha Studios」は、日本のIPを世界に広めるための新たな挑戦であり、エンターテインメント業界に大きな期待をもたらすニュースです。会見では、野間社長、ジャオ氏、ゴンダ氏それぞれが、新スタジオにかける熱い想いと、日本のコンテンツへの深い愛情を語られました。
特に印象的だったのは、ジャオ氏が語った「日本のコンテンツは私の血と肉をつくった」という言葉と、「Kodansha Studios」を「庭」として、東西のクリエイターが共に育ち、新たな物語を創造する場にしたいというビジョンです。これまで海外展開における課題とされてきた文化間の理解不足を乗り越え、日本の豊かな物語がハリウッドのクリエイティブと融合することで、世界中の人々を魅了する「不可能を可能にする」作品が生まれることでしょう。
この新たな試みが、日本のコンテンツの価値をさらに高め、世界中のクリエイターとファンをつなぐ架け橋となることを、あつめでぃあ編集部も心から期待しています。今後の「Kodansha Studios」の活動から目が離せません!
著者
あつめでぃあ編集部
あつめでぃあ編集部が最新情報をお届けします。
