映画
映画『たしかにあった幻』とは? 河瀨直美監督が描く“愛と命の物語”
公開日:2025年11月07日
更新日:2025年11月07日
映画『たしかにあった幻』とは? 河瀨直美監督が描く“愛と命の物語”
河瀨直美監督の最新作『たしかにあった幻』が、2026年2月6日(金)よりテアトル新宿ほかにて公開されることが決定しました。本作は、「愛のかたち」と「命のつながり」をテーマに、日本の失踪者問題と心臓移植の現実を重ね合わせて描かれる、まさに珠玉の人間ドラマです。
この度、本作のメインビジュアル2種が解禁されました。メインビジュアルAでは、主人公のコリーが光が差し込む森の中の水辺で耳に手を当てている姿が印象的です。まるで、これまでとは違う方向の音を拾い、新しい扉を開いたかのような穏やかな表情が、未来への希望を感じさせます。一方、メインビジュアルBでは、コリーが心臓疾患を抱える子どもの手を握る場面と、世界遺産・屋久島の原生林の神秘的な光景が並びます。「医療」と「神秘」という異なるイメージが組み合わされることで、物語の多層的な構造が具現化されており、これらがどのように繋がっていくのか、想像を掻き立てられますね。
本作は、河瀨直美監督にとって6年ぶりの劇映画であり、オリジナル脚本としては8年ぶりとなる待望の作品です。物語を支えるテーマは二つ。一つは、先進国の中でドナー数が最下位という日本の臓器移植医療について。もう一つは、年間約8万人にも上る日本の行方不明者問題です。河瀨監督はこれまでも、『あん』(2015年)でハンセン病患者の生き様を、『光』(2017年)で失われゆく視力と新たな愛を、『朝が来る』(2000年)では特別養子縁組と二人の母の絆を描くなど、旧来の常識や血縁とは異なる「愛」の形を追求してきました。本作もまた、「死」が終わりではないという気づきの先に、移植医療が人の命を繋ぎ、「生」の意味を問いかける、深遠なメッセージが込められています。第78回ロカルノ国際映画祭でのワールドプレミア上映では、河瀨監督のマスターピース(傑作)と評されたことからも、その完成度の高さがうかがえます。

© CINÉFRANCE STUDIOS – KUMIE INC – TARANTULA – VIKTORIA PRODUCTIONS – PIO&CO – PROD LAB – MARIGNAN FILMS – 2025

© CINÉFRANCE STUDIOS – KUMIE INC – TARANTULA – VIKTORIA PRODUCTIONS – PIO&CO – PROD LAB – MARIGNAN FILMS – 2025
豪華キャスト陣が織りなす人間ドラマ! 注目の出演者たち
本作には、河瀨直美監督作品の常連である実力派俳優陣に加え、国際的なキャストも集結しました。主人公コリーを演じるのは、『ファントム・スレッド』(2017年)や『蜘蛛の巣を払う女』(2018年)などで知られるルクセンブルク出身のヴィッキー・クリープスさんです。聡明な大人の女性でありながら、時には少女のような無邪気さや脆さを見せ、孤独と向き合う繊細な心の揺らぎと、それゆえの限りない優しさを全身全霊で演じ切っています。
コリーが屋久島で運命的に出会う謎めいた青年・迅役には、公開作が相次ぎ、連続テレビ小説「ばけばけ」(NHK)にも出演中の寛一郎さんが抜擢されました。河瀨作品には初参加ながら、ワイルドで自由な存在感と、ある日突然姿を消してしまうような危うさを両立させた演技は必見です。東京国際映画祭コンペ部門にノミネートされた『恒星の向こう側』(監督:中川龍太郎)では、役者としての河瀨直美監督と共演も果たしています。
さらに、河瀨監督に見出された尾野真千子さんが、最愛の息子を失い、罪悪感に苛まれるめぐみを演じます。元捜査一課の刑事で、現在は弁当屋として過ごす亮二役には、北村一輝さん。ドナーとなる少年の父親には、近年の河瀨作品に欠かせない永瀬正敏さん。その母親には早織さん。心臓病を患う少年・久志の母親・由美には岡本玲さん。同じく小児病棟に入院中の少女・瞳の母親・裕子には松尾翠さん。人手不足が深刻な移植コーディネーターの浜野には小島聖さん。臓器移植医療を担当する小児科医・平坂には平原テツさん。迅の父親・英三には利重剛さん。母親・幸江には中嶋朋子さんと、錚々たる実力派が顔を揃えました。
そして、河瀨監督がオーディションで見出した子役二人、久志役の中村旺士郎さんと、瞳役の中野翠咲さんの、実力派俳優顔負けのリアリティある演技にも注目です。彼らが物語にどのような彩りを加えるのか、公開が待ち遠しいですね。

© CINÉFRANCE STUDIOS – KUMIE INC – TARANTULA – VIKTORIA PRODUCTIONS – PIO&CO – PROD LAB – MARIGNAN FILMS – 2025
制作陣が語る『たしかにあった幻』の舞台裏
本作の制作には、河瀨直美監督の右腕として活躍してきた才能豊かなスタッフが集結しています。撮影には、『光』と『Vision』(2018年)で河瀨監督とタッグを組んだ写真家の百々新さんと、河瀨監督のドキュメンタリー『東京2020オリンピック』(2022年)の撮影統括を担当した鈴木雅也さんが参加。彼らの映像美が、物語に深みを与えています。
音楽は、本作が初の映画音楽となるパリを拠点とするピアニスト/作曲家の中野公揮さんが担当。繊細かつ力強い音色が、観客の心に響くことでしょう。編集は、『殯の森』以降、これまでの河瀨監督の劇映画全てを手がけてきたティナ・バスさんがパリでの編集作業全般を担当し、作品の完成度を高めています。
本作は、フランス・ベルギー・ルクセンブルク・日本の合作として制作されました。劇中では、日本の移植医療関係者たちが交わすディスカッションや、心臓移植手術の現場をとらえたシーンが登場します。これらは、実際に小児臓器移植に携わる人々の協力のもと、役者と現役医師や看護師、そして映画スタッフが入り混じって、まるでドキュメンタリーのように撮影されたといいます。これにより、作品に圧倒的なリアリティと説得力が生まれています。
さらに、世界遺産にも登録された屋久島の、1000年以上生きてきた屋久杉が織りなす光景も、本作の大きな見どころの一つです。自身が生まれ育った奈良の森や奄美大島の海をはじめとする自然の神秘と一体のフィルモグラフィーを築いてきた河瀨監督だからこそ描ける、人類の原初的な鼓動のように生命の源たる息吹が、スクリーンから放たれます。それはまるで地球の記憶のごとく、観る者の魂と響きあい、この世界に提示されてゆくことでしょう。

© CINÉFRANCE STUDIOS – KUMIE INC – TARANTULA – VIKTORIA PRODUCTIONS – PIO&CO – PROD LAB – MARIGNAN FILMS – 2025
あらすじ:失踪と心臓移植が交差する運命の物語
フランスから来日したコリーは、神戸の臓器移植医療センターで働きながら、小児移植医療の促進に取り組んでいました。しかし、西欧とは異なる日本の死生観や倫理観の壁は思った以上に厚く、医療現場の体制改善や意識改革は困難で、もどかしい思いを抱えていました。
そんなコリーの心の支えは、屋久島で運命的に出会った恋人の迅でした。しかし、彼の誕生日でもある7月7日の七夕に、迅は突然姿を消してしまいます。一年後、迅が失踪するはるか前に彼の家族からも捜索願が出されていたことを知ったコリーは、迅の実家がある岐阜へと向かいます。そこで明かされた事実は、コリーと迅の出会いが宿命的だったことがわかり、コリーは愕然とします。
一方、心臓疾患を抱えながら入院していた少女・瞳の病状が急変。コリーは、迅の失踪の謎と、瞳の命を救うための心臓移植という、二つの大きな運命に直面することになります。果たして、コリーは失踪した迅の行方を見つけ出し、瞳の命を救うことができるのでしょうか? そして、「たしかにあった幻」という言葉に込められた意味とは何なのでしょうか? 予測不能な展開が、観る者の心を揺さぶります。
編集部まとめ
河瀨直美監督の最新作『たしかにあった幻』は、愛と命、そして失踪と臓器移植という重厚なテーマを、豪華キャストと実力派スタッフが織りなす人間ドラマとして昇華させた、まさに「傑作」と呼ぶにふさわしい作品です。メインビジュアルから伝わる神秘的な雰囲気と、解禁されたあらすじからは、観る者の心を深く揺さぶる物語が展開されることが予感されます。
2026年2月6日の公開が今から待ち遠しいですね。ぜひ劇場で、河瀨直美監督が描く“愛と命のつながり”の物語を体験してください。きっと、あなたの心にも深く響くはずです。
公開情報
タイトル:映画『たしかにあった幻』
公開日:2026年2月6日(金)
劇場:テアトル新宿ほか 全国ロードショー
監督・脚本・編集:河瀨直美
出演:ヴィッキー・クリープス、寛一郎、尾野真千子、北村一輝、永瀬正敏、小島聖、岡本玲、松尾翠、早織、平原テツ、利重剛、中嶋朋子、中村旺士郎、中野翠咲 ほか
配給:ハピネットファントム・スタジオ
公式サイト:https://happinet-phantom.com/maboroshi-movie/
公式X:@maboroshi_film
公式Instagram:@maboroshi_movie
著者
あつめでぃあ編集部
あつめでぃあ編集部が最新情報をお届けします。
